
2019/5/7
日本・世界の植物園訪問記(9)
中国科学院西双版納(シーサンパンナ)熱帯植物園
中華人民共和国 雲南省
※本記事の内容は2008年に作成し、2019年に一部改訂したものです。
最新の情報は各植物園の公式ホームページ等をご確認ください。
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- 川に囲まれたひょうたんのような形の
土地すべてが植物園の敷地
雲南省は中国西南部に位置しており、その中でも西双版納タイ族自治州は最南端の辺境にあって、南はラオス、西はミャンマーとの国境に接しています。気候的には亜熱帯に属し、タイ族(ルー族)をはじめハニ族、イ族、ラフ族、プーラン族といった少数民族が数多く住んでいます。
中国科学院西双版納熱帯植物園は、1959年にメコン川の支流が大きく蛇行してできたひょうたん型の土地に設立された、中国で一番大きな植物園で、総面積は1125ha、国家5A級観光区や全国科学普及教育基地などに指定されています。雲南省と中国科学院が共同で進めた大型プロジェクト「熱帯資源優良品種の導入・保存および資源植物の研究(万種植物園)」により、現在では中国南部とミャンマー、ベトナム、ラオスなどとの国境地帯の亜熱帯植物を中心に、植物の種類は13000種以上に達しました。
園内には研究所があり、現在はそれらの分析を行っており、東南アジアから研究者も受け入れて、研究と人材育成に当たっています。中国の植物多様性の源としてバイオ・薬用植物の研究拠点としても注目されています。
園内は珍しい植物を集めた「奇花異木園」や「民族森林文化園」「南薬園」など38ゾーンに区分けされており、その内のひとつである「棕櫚園」には約460種のヤシ科植物が植えられています。また、熱帯雨林民族文化博物館や研究者の宿舎、観光者用のホテルも併設されています。
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- モウ(孟に力)侖の町からは徒歩の場合、
吊り橋を渡って植物園に入る
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- 車で入ることの出来る西門
(但し町からは大きく迂回しないと入れない)
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- 毛の生えた赤い蒴果が特徴的なベニノキ
種子から食用色素アナトーが採れる
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- ヤクチ(左)・リョウキョウ(右)など
ショウガ科の植物の花も数多く見られる
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- マイハギは高温や高音に反応して
小葉を動かす姿からその名が付いた
空港のある景洪市には他にも「西双版納南薬園」 「西双版納熱帯花卉園」 「西双版納原始森林公園」が、空路経由地の昆明には「昆明植物園」 「昆明世界園芸博覧園」 「昆明園林植物園」と植物を楽しむことの出来るスポットが数多くあります。南国のゆったりした空気の中、心ゆくまで植物に浸ってみてはいかがでしょうか?
昔、タイ族の少女が失恋のために儚くなってこの花に生まれ変わったという伝説がある
“シーサンパンナ”とは
タイ族(ルー族)の言葉で、西双は12、版納は畝のことで「12の畝」を言い、「畝」はタイ族の水田の広さを測る単位でしたが、後に封建制での納税の行政区域を計算する単位に変わり、現在では「12の行政区域」と言う意味を持っています。
DATA
交通 | 景洪市シーサンパンナ・ガサ空港から植物園のあるモウ侖まで高速道路を利用して、車で約1時間(定期バスも運行しています。) ※日本からガサ空港への直行便はないため、昆明で乗り継ぎが必要です。昆明から国内線で30~40分 ※モウ侖からの復路にタクシーを利用する場合は、現地手配は難しいので事前予約が必要です。 |
開園時間 | 西門:午前8時~午後6時,吊り橋入口:午前7時半~午後6時半(年中無休) |
入園料 | 大人80元 小人(6歳以上18歳未満),高齢者(60歳以上70歳未満)40元 6歳未満または身長1.2m未満,70歳以上 無料 身分証明書が必要、その他割引有 |
(1元≒17円) 2019年現在