2018/5/1

日本・世界の植物園訪問記(5)

広西薬用植物園
中華人民共和国 広西壮(チワン)族自治区

※本記事の内容は2007年に作成し、2018年に一部改訂したものです。
 最新の情報は各植物園の公式ホームページをご確認ください。

広西薬用植物園は、広西チワン族自治区南寧市の東部丘陵地帯に1959年に創設されました。総面積は約200ヘクタールで、園内には広西にしか見られない野生の植物をはじめ、中国各地や海外の薬用植物が集められています。種子や培養細胞・組織を含めた植物の保存種は300科近くに渡り7400種にも達する、世界最大級の薬用植物園です。
園内は、広西特産の植物や中成薬に用いられる植物の「広西特産薬物区」、日中韓をはじめとする各国および民族の伝統処方や薬用植物が展示された「本草験方長廊」、明代の本草書『本草綱目』の中から約300種を分類して展示した「《本草綱目》草部展区」の他、園内で最も広い「木本薬物区」、シダ植物など日陰を好む植物の「陰性植物区」、ショウガ科薬用植物の「姜科薬物区」、広西に住む11の少数民族の伝統

黄薬子(オウヤクシ)
塊茎を止血・鎮痛に用いる
黄薬子(オウヤクシ)
塊茎を止血・鎮痛に用いる

医薬史が学べる「民族薬物区」、国から指定された希少種や絶滅危惧種を収集し、繁殖研究も行う「珍惜瀕危植物区」、温室もある「熱帯植物区」などに分けられ、厳しく管理されています。また、「薬用動物区」には、梅花鹿(マンシュウジカ)、蛤蚧(オオヤモリ)などの薬用動物が飼育されています。

足下を見るとどちらに何があるのか
分かるようになっている
(上の写真の下部分)
足下を見るとどちらに何があるのか
分かるようになっている
(上の写真の下部分)
植物園内にある薬膳レストラン
植物園内にある薬膳レストラン
山銀花(サンギンカ)は金銀花の仲間で
花蕾を用いる
山銀花(サンギンカ)は金銀花の仲間で
花蕾を用いる
月季花(ゲッキカ)は花や根、葉を薬用に用いる
月季花(ゲッキカ)は花や根、葉を薬用に用いる

広西チワン族自治区

広西チワン族自治区は中国の南部に位置し、亜熱帯・熱帯気候に属しています。南はトンキン湾に臨み、南西部はベトナムと国境を接しています。清代の初めに広西省となり、1958年自治区に改編されました。首府は南寧市で、区域の3分の2以上を山地が占め、景勝地で有名な桂林など、美しい自然に恵まれています。
中国政府は民族区域自治制度という少数民族政策を取っており、国民を漢族と55の少数民族とに区分しています。
チワン族は中国南部やベトナム北部に住居するタイ系の民族で、中国では広西チワン族自治区中西部や雲南省南西部、広東省東部、貴州省南部、湖南省南部に約1,800万人が住み、中国最大の少数民族となっています。広西チワン族自治区では人口約4,800万人のうち、3分の1近くをチワン族が占めています。他にもヤオ、ミャオ、トン、ムーラオ、マオナン、フェイ(回)、プイ、ジン、スイなどの民族が住んでいます。

DATA


交通 南寧呉圩国際空港から南寧市中心部まで車で約40分
(南寧駅近くまでのリムジンバスも運行しています。)
植物園へは中心部から車で約10分
※日本からの直行便はないため、北京・上海などで乗り継ぎが必要です。
開園時間 春冬季:午前8時~午後5時半
夏秋季:午前8時~午後6時(年中無休)
入園料 65元

(1元≒18円)  2018年現在

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